立花わたる

■作者紹介
立花わたるさんは、島根県で主に彫刻の作品を制作するアーティスト。
植物や人間などの抽象作品や、おばけシリーズとして不思議でかわいらしい作品の制作を行っています。


・芸術、美術関係に興味が湧いたきっかけはありますか。
興味が沸いたきっかけは、中学生くらいのころマジック・ザ・ギャザリングというカードゲームのイラストを見て、
こういうのが描けないかなと思いながら、学生時代を美術部として過ごしてきたことです。


・どのような作品を制作されていますか。
最近は、粘土を焼成した作品を制作しています。
粘土原型から石膏型を作り、その型に粘土をはめ込んでそれを焼成しています。
また、焼成設備もあまりしっかりしたものがないので、野焼きでの焼成を行っています。
耐火レンガを組んだ中に作品を入れて、直火で作品を焼くような方法をしています。
野焼きでの焼成をしている人はもしかしたら少ないかもしれません。
独特な風合いが出てきて、面白いかなと思っています。



大学の卒業制作のころは、動物をモチーフにした抽象彫刻のインスタレーションをしていました。
その後は、植物や人間などから要素を引っ張て来て抽象作品を作っています。
卒業してしばらくは、インスタレーション的な作品を続けていましたが、
1点の作品で見栄え感のある作品がしっかり作れるようにならなければと思うようになり、
単体の作品にも力を入れるようになりました。


・今回ご提供頂いた作品について教えてください。


「キバおばけ」2022
ハロウィン展示のために制作した作品です。
元々、おばけというシリーズ(抽象的な形に顔や耳、角を付けたキャラクター的作品)を少し大きく作ってみた作品群の一体で、
マンモスの頭骨を被ったようなイメージで制作しています。
野焼き焼成で独特な風合いが感じられると思います。
作品はこちらから


「実り広がり」2019
島根県総合美術展用に制作した作品の一部で、銀賞をいただきました。
植物の種子や球根のイメージで制作し、複数体並べるインスタレーション作品です。
野焼き焼成を始めたばかりの時期で、まだまだ、うまく焼けず、爆砕したり、生焼けだったりと
かなり厳しいものがあったのを覚えています。
元々、4点で1組の作品で、大きめの作品がもう1体存在しています。
今回は、形のそろった3体を一組としています。
作品はこちらから

・かわいいをコンセプトにした作品が多い印象を受けたのですが何か理由などはありますか
おばけシリーズは子供向けの教材として始めたのがきっかけですが、
イラストは2022.5月末に始めたSNSで更新頻度を上げるために描き始めたのがきっかけです。
どうしても、大きな立体作品だけだと、更新頻度が保てないなという悩みから生まれたもので、
自分に無理なく、毎日かけそうなものとして生まれました。SNSの看板娘のような存在です。
メインで作っている彫刻作品とは似ても似つかない雰囲気の作品で、
メインより更新頻度があり目立ってしまっているのが最近の悩みでしょうか。
どこかで、メインラインの作品とかわいい作品の合流点が見つかるといいなと思っています。


・将来の展望や目標を教えてください
1つ目は、自分の作品を作り続けることです。
大学を卒業してから、制作を続けたい気持ちを持ちつつも自分の作品や技量に自信がなく
地元の作品展に修行の意味を込めて出品を続けてきました。
島根県展では3年連続でその年の最高賞をもらうことができました。
今後は、大学のころからの恩師が国展系に出品しておられる先生なので、
自分も国展に作品を出品できるよう制作を進めていきたいと考えています。

2つ目は、障がい者アートの支援です。
教育学部出身ということもあり、特別支援などの障がいのある子供と関わる機会があったことがきっかけで、
障がい者アートに興味を持つようになりました。
昨年度から、積極的に県内の障がい者アート系の研修などに参加し、ただいま、勉強中です。
2023年度からは、立体系の美術講師として県内の障がい者福祉施設を回る予定です。
また、障がいのある人を絡めた、グループ展も計画中です。
アーティスト育成、発掘やプロモーションなどをしてあげられる存在になることが目標で、ちょうど、第一弾が始まるところです。

3つ目は、地元美術の応援です。
初めて島根県総合美術展(県展)に出した時、何か賞を取ってやるぞという気持ちで出品しましたが、
特に賞に引っかかることもなく終わりました。
県展は、年代もかなり上の人が出していて、アカデミックな雰囲気の作品が多い環境でした。
私の作品は、そんな中では、一風変わった雰囲気の抽象作品で賞に入るのは難しいのかなと思いましたが、
それでも、彫刻の出品者自体が減っているような状態で、
自分が出品することで、作品の幅が広がるのかなと思ったので、
翌年からは、自分は地元彫刻の応援団だ!と思って作品を出品するようになりました。
その活動は今も続いていて、地域のコミュニティの応援という意味を込めて、地元の展示にはいろいろ出品しています。
これは今後も継続していきたいと考えています。


・インタビュー記事を見る読者に言いたいこと、伝えたいことをお願いします。
今後、障がい者アートなども絡んできますが
アーティスト育成、発掘、宣伝のようなことができるようにという思いでSNS活動などを始めました。
自分が誰かの広報役になってあげられるようなアーティストになることを
目標に活動し始めたところですので、応援よろしくお願いします。
個人でいろいろな展示企画を考えているのでご注目いただければと思います。



立花わたる

島根大学教育学部美術教育専攻を卒業

 大学では動物をモチーフとした抽象彫刻のインスタレーションを制作

2015年―島根県総合美術展(県展)へ作品出品を始める

     植物を中心に人間、骨などをモチーフに抽象彫刻を制作する 

2020年―第53回島根県総合美術展・彫刻部門で金賞を受賞

2021年―第8回小さな世界展(石正美術館)出品

―第1回倉澤實記念館賞コンクールで佳作を受賞

―第54回島根県総合美術展・彫刻部門で金賞を受賞

2022年―SNSにて作品発表を始める

    ―第9回小さな世界展(石正美術館)出品

―SNS活動をきっかけにAAA gallery (横浜)のグループ展

『Happy Halloween~愉快な夜~展 第V章』

『Dark Halloween~沈黙の夜~展 第V章』に参加

―第55回島根県総合美術展・彫刻部門で金賞を受賞

  ―オンライン展覧会【HUAHUAフェスタ2022】・優秀賞受賞

2023年―干支展-2023卯-(石正美術館)出品

―きゃわいい共和国 ~光~GalleryIYN(大阪)3/3-3/12


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