長沼翔

■作者紹介
長沼翔さん
銅版画での作品を中心に制作されているアーティスト。
繊細な背景とデフォルメされたキャラクターによる独自の世界観を展開する作品についてインタビューをして参りました。


WAYBACK
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くしゃみする犬
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心臓を捧げる?
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■銅版画を中心に制作されていますが、どのように制作するのか教えてください
自分は銅版画を間接技法で制作しています。銅の板を直接彫らずに、銅の板にグランドというコーティングをしてできた膜をニードルで彫ります。
元々ペンで書くのが好きだったのでその感覚に近い、細い線がきれいに出るので自分に合っていると感じています。


■作品制作でテーマなどはありますか?
明確にテーマがあるときもないときもあるのですが、作品全体で意識しているのは「虚構と現実のあいまいさ」です。
現実でありそうだけどない風景を描いたり、リアルな中にデフォルメしたキャラクターがいる。
虚構と現実が曖昧になっている作品を多く制作しています。


ー繊細に書き込まれた風景とデフォルメされたキャラクターの対比から、独特の世界観が構成されているんですね


最近の作品では、写真製版の技法を用いて写真という現実を銅版画に起こした作品があります。
よりリアルな写真という現実があることによって一人のキャラクターが際立ち、さびしさや孤独感が表現できたらと思っています。


ーさびしさや孤独感は最近の作品以外でも表現されているのでしょうか?


明るい雰囲気というよりは、さびしさだったり、孤独感を表現しているような作品が多いです。
昔から自分を真に理解できるのは自分しかいないような感覚を持っていて、どこかさびしさや孤独感を感じることがあります。
制作するときに意識はしていなかったのですが、壁の前や部屋の中にキャラクターがいる作品が多いのも、
そういったさびしさや孤独感の影響を受けているのかもしれません。
壁は何かを隔てる物で、部屋は区切られた空間で、2つともさびしさや孤独感と結びついている気がします。



■将来の展望や目標を教えてください
展望や目標とは少し違うかもしれませんが、「制作を続ける」ということは常に意識しています。
作品が売れることや見てもらえることはもちろん嬉しいですが、「制作を続ける」ために必要なことだと思っています。
目先の目標で次の公募展で賞をとるなども「制作を続ける」ためです。
どんなに苦しくても制作を続けていきます。

■最後に読者に何か伝えたいことはありますか
作品を見た人がとにかく何か感じ取ってくれれば嬉しいです。
作品によって自分が「こう思うかな?」と想定している感情はもちろんありますが、
見た人が想定していない感情を抱いたとしてもいいと思っています。
自分は「さびしさ」を表現していても見た人が「かわいい」と思ったのなら、それはそれでいいと思っています!
自由に見て頂けたらと思います!

■連絡先
mail:imagineforshou@yahoo.co.jp
Instagram:@sho.8653

■今後の展示予定
長沼翔 個展 会期11月26日〜12月3日
          会場 数寄和