岡田百合
■作者紹介
岡田百合さんは、多様な手法で作品を制作されているアーティスト。
様々な作品を制作されている岡田さんの制作手法やルーツについてインタビューいたしました。
・芸術、美術関係に興味が湧いたきっかけはありますか。
物心つく前から絵を描いていたようです。幼稚園生から高校卒業まで、パステル画教室に月に一度通っていました。その経験は大きいです。
・どのような作品を制作されていますか。
大学でビジュアルデザインを学び、大学院では版画を専攻しています。
ずっと「命」をテーマに創作活動をしてきました。その出会いは点描でした。
気持ちをこめて点を打ち、刻むことで、私のエネルギーが吹き込まれ、命が宿ります。
点描の手法を発展させて、遺伝子のDNAを視覚化し、「命の花」「わたしの跡」(卒業制作)のインスタレーションにしました。
従来の手法やジャンルにとらわれない作品作りを心がけています。
観た人の心が揺さぶられる作品にしたいといつも意識しています。
・今回ご提供頂いた作品について教えてください。
コロナ禍の余波で、家にこもりながら「自分」について考えました。
「わたしは誰なのか、どこから来たのか、どこへ行くのか」
それを突きつめたくて、20年近く暮らしてきた部屋の壁や床、家具を思い思いに彫り、プリントにしました。
私たちの遠い祖先である類人猿、絶対的な存在である神・仏、そして自画像と指紋の描写…
自分の根源に少しだけ迫ることができたような気がしました。
この作品はその一部で、床を彫ってプリントにしたものです。
・一番印象に残っている作品やプロジェクトがあれば教えてください。
大学2年から東京大と女子美大がコラボする「サイエンスコミュニケーション」に参加しています。
生物や化学の難しい研究内容を、美大生がアートで分かりやすくビジュアル化し、東大のオープンキャンパスで発表します。
研究生が最も伝えたいことを見極め、理解するのがとても大変です。
しかし、厳しい条件の中で、私の個性をめいっぱい発揮して表現することにやりがいを感じています。
タイトル:DNAと自然選択
臓器のなかには、DNAといい、0.00000034mmの文字がらせん状に何十億と連なった生物の設計図があります。
これが生物の特徴を決めています。
DNAの変化により生存に有利な特徴が生まれると、その特徴を持つ生物は、世代を経るごとに増えていきます。
これを自然選択と言い、過去から現在、そして未来へと繋がる生物進化の原動力の一つとなってきました。
これらの情報を映像とインスタレーションで表現しました。
映像URL : https://youtu.be/1eEzIj-57dE
・将来の展望や目標を教えてください
世界で活躍する芸術家になりたいです。
・「世界で」としたきっかけはありますでしょうか?
もともと、「日本で」と言っていたのですが、美大の先生に目指すなら世界を目指せと言われたためです。
その後ドイツに1年間交換留学に行ったのをきっかけに視野が広くなり、その思いが強くなりました。
・インタビュー記事を見る読者に言いたいこと、伝えたいことをお願いします。
作品に少しでも興味をもっていただけたら幸いです。
岡田 百合 Yuri Okada
1998年 東京都生まれ
2020年 女子美術大学ヴィジュアルデザイン学科 卒業
2022年 ドイツ ミュンヘン美術アカデミー Painting and graphics 専攻(交換留学)
2023年 帰国
現 在 東京藝術大学大学院美術研究科修士課程絵画専攻版画 在籍
2019年 アーツ・アンド・クラフツ 2人展(ART・IN・GALLERY/原宿)
2021年 女子美術大学美術館奨励賞(卒業制作最優秀賞)